侮るなかれ!公務員試験の合否は教養試験で決まる

教養
この記事は2014年1月26日に掲載された記事を再編集したものです。

専門試験が課されない大卒程度の公務員試験というのは、公安系や市役所を中心にたくさんあります。厳密な意味での公務員試験ではないですが、大半の受験生が併願する「国立大学法人等職員採用試験」も教養試験のみで合否が決まります。



たかが教養、されど教養

しかし、教養試験のない公務員試験というのはほとんどありません。ここで「ほとんど」と言ったのは、相模原市の「社会福祉」区分のように専門試験だけの区分があったり、筆記試験がSCOAタイプのみの市役所試験があるからです。

国家公務員試験では平成24年度から「基礎能力試験」に名称が変更されていますが、中身は従来の教養試験とほとんど変わりません。出題分野のウェートに変化があったぐらいです。

教養試験の配点はどれぐらいか?

では、専門試験ありの公務員試験において、教養試験の配点はどれぐらいなのでしょうか?

大卒程度試験では「教養40問+専門40問」のようにほぼ均等に出題される試験が多いため、教養と専門が半分ずつの配点と勘違いしている人が多いのですが、問題数が同じだからといって配点も同じとは限りません

たとえば、国家総合職(大卒程度)の1次試験は「教養40問」+「専門40問」ですが、配点比率は、教養2に対して専門3。つまり、問題数が同じでも専門は教養の1.5倍の配点となります。

国家一般職(建築区分除く)ではこの差がさらに開き、同じ「教養40問」+「専門40問」でも、配点比率は1:2。つまり、専門1問は教養2問分の配点となるのです。
(*ここでは論文などの記述試験を除いて考えています)

詳しくは以下の表をご覧ください。

試験種別教養試験配点比率

試験種 教養試験 専門試験
国家総合職
(大卒程度)
問題数:40問
(配点比率
問題数:40問
(配点比率
国家一般職 問題数:40問
(配点比率
問題数:40問
(配点比率
国税専門官 問題数:40問
(配点比率
問題数:40問
(配点比率
財務専門官 問題数:40問
(配点比率
問題数:40問
(配点比率
法務省専門職 問題数:40問
(配点比率
問題数:40問
(配点比率
裁判所総合職
(人間科学)
問題数:40問
(配点比率
問題数:6題
(配点比率
裁判所一般職 問題数:40問
(配点比率
問題数:30問
(配点比率

※地方公務員は配点比率非公表の自治体が多いため割愛

裁判所総合職(人間科学)は平成28年現在「裁判所総合職(家庭裁判所調査官補)」に名称変更され問題数も変更されています。

これで、どちらに軸足をおいて対策すべきかはお解りでしょう?

専門試験での1問の失点は、教養試験1問半から2問分に相当するということです。裏を返せば、教養の失点は専門でしっかり得点すれば容易にカバーできます。

「それなら教養は少しぐらい手を抜いても大丈夫。しちめんどくさい数的処理からも解放される。」と思ったそこのあなた!甘い!そうは問屋が卸さないのです。

教養試験(基礎能力試験)には基準点と呼ばれるものがあります。
基準点とは、平たく言えば「足きりライン」のことです。
教養試験の得点がこの基準点を下回ると、総合得点で合否ラインを上回っていても不合格となります。

基準点は専門試験にも設定されていますが、前述の配点比率を知っている受験生は、滅多なことでは専門試験対策で手を抜きません

しかし、教養試験ではこの落とし穴に簡単に嵌ってしまう人が意外に多いのです。

皆さん気をつけましょう。

教養試験の基準点と平均点

では、最後に代表的な国家公務員試験の基準点と平均点を示し、今回はお開きといたします。

最後までお読みいただきありがとうございます。お疲れ様でした。

平成25年度「基礎能力試験」の基準点と受験者平均点

試験種 満 点 基準点 平均点
国家総合職
(大卒程度)
40 12 18.376
国家一般職 40 12 20.227
国税専門官 40 12 22.866
財務専門官 40 12 24.317
法務省専門職 40 12 18.941
裁判所総合職
(法律・経済)
40 15 19.94
裁判所総合職
(人間科学)
40 15 18.69
裁判所一般職 40 15 19.95

※4割得点出来ていれば全ての試験で基準点をクリアー出来ます。