2017年の公務員試験も出願期間真っ只中ですが、今回は公務員試験の職種・区分のお話をしたいと思います。仕事内容や待遇面ではなく、合格のし易さという観点で見ていきます。
仕事のやりがいや安定性も重要ですが、まずは試験に受からなければ話になりません。倍率面から見て、受かりやすい公務員試験と受かりにくい公務員試験にはどれぐらい差があるのでしょうか?
公務員試験の合格倍率
当たり前のことですが、公務員試験はどの試験でも倍率が同じというわけではありません。
とんでもない高倍率の試験もあれば、反対に「えっ!?」と驚くような低倍率の試験もあります。
では、どんな試験が高倍率で一体どれぐらいの倍率なのか、反対に、どんな試験が低倍率で一体どれぐらいの倍率なのか、を見ていきたいと思います。
高倍率の公務員試験
高倍率の公務員試験として有名なのは、いわずと知れた国家総合職の「政治・国際」区分。単に高倍率というだけでなく、難易度の極めて高い試験としても有名です。
昨年度(平成27年)国家総合職の「政治・国際」区分の実質倍率が58.6倍です。1000人以上が受験して、たった18人しか最終合格していません。強烈な倍率です。
悪いことは言いません。国家総合職を受験し事務官キャリアを本気で目指すなら、「法律」か「経済」の区分で受験したほうがなんぼかマシです。
それか、大学院に進学して「院卒者」区分で受験しましょう。
院卒者区分は大卒区分の半分以下の倍率です。
でも実は国家総合職が最も倍率の高い試験ではないんですねえ。
国家公務員総合職を凌ぐ高倍率の公務員試験も探せばあります。
何年か前に調べた際、さいたま市の栄養士が100人受験で合格者1人でした。
倍率なんと100倍!
このようなマイナー職種では、100~200倍という試験もたまに見かけます。
最近は以前と比べて公務員試験の倍率が下がり気味ですが、それでも採用数が1人や2人という試験では倍率が跳ね上がることがあります。そういうところを受験する方は気をつけてください。
そういえば裁判所の事務官も、総合職で受験すると倍率100倍超えの年度がありました。衆議院事務局や参議院事務局の総合職では頻繁に100倍を超えています。1000人受験して合格者は10人程度です。同じ総合職でも人事院の実施する国家総合職の比ではありません。
社会人経験者の採用試験はもっと高倍率になることもあります。
記憶している限りでは、過去最高は確か倍率500倍でしたかね。。
ここまでくると、最早「科挙」の世界です。
低倍率の公務員試験
皆さんが興味があるのは、こちらの「低倍率=入り易い」試験のほうでしょう。
でもこれから出願するに当たって低倍率の試験を探している人には参考にならないかもしれません。
なぜなら、それは技術職=理系公務員だからです。
昨年(平成27年度)の国家一般職の実施結果を見てみましょう。
土木職の倍率が1.6倍、建築職が1.7倍、機械職が1.4倍、電気電子情報区分で1.4倍です。
特別区などの地方公務員でも同じような倍率です。
まるで、地方の公立高校の入試倍率ですね。
他職種・区分の方が見ると卒倒しそうです。
どうしても公務員になりたい人は、工学部に進学し「土木工学」「建築工学」「機械工学」「電気工学」のどれかを専攻するのが手っ取り早いのかもしれません。
でも、大学進学前の人にしか参考になりませんよね。しかも数学が苦手なら理系進学が難しいでしょうし・・・。
もっとも、今から入学して4年生になるまでこの低倍率が続いているとは限りませんが・・・
しかし、それにしても魅力的な倍率です。
倍率は職種による差が大きい
公務員試験は受験する年度や自治体による倍率の差も然ることながら、職種・区分による差が最も大きいのです。
だからと言って、自分のやりたいことを曲げてまで受かりやすい職種で受ける?「これでは本末転倒!」・・・と言いたいところですが、状況次第ではもう少し柔軟に考える必要があるのかも知れません。
過去に農学部で「畜産」を専攻している受験生がいました。しかし、地元の自治体の「畜産」区分は隔年採用。受験する年は採用のない年。つまり倍率無限大。
こういうの結構あります。
そこで彼が採った戦法は、いったん隣の県に「畜産」区分で就職し、翌年地元の県を受け直し。結果、見事成功。
同様に、こんなケースもあります。
大学で心理学を専攻していたが、地元の県では「心理」区分の採用が例年1名。そういう場合、Uターンを優先するのであれば、行政区分や福祉区分での受験も視野に入れるべきかもしれません。
この方法で成功された方も過去何人かいらっしゃいます。
自分にとっての優先事項は何か
そういえば昔、英語が好きでもないのに英文科を選び大学院まで進学した知人がいました。
その理由は、単に大学教授になりやすいから。
確かにマイナーな学問分野と異なり、語学の授業はどこの大学・学部にも置かれています。だから語学の教員には一定のニーズがあります。
「へえ~そういう考え方もあるのか!」と思ったものですが、大学の教員になるのが目的なら、需給バランス考えてその選択は正しいのかもしれません。
就職に際しては、自分の中での優先事項をまず決め、それ以外を切り捨てる思い切りの良さが必要となる場面もあります。
何が譲れて何が譲れないかを今一度考えてみるといいでしょう。虻蜂取らずになる前に。
最も低倍率の公務員試験
先ほど低倍率の公務員試験を探したところ技術職に行き着きましたが、一次の筆記試験に限って言えばもっと低倍率の試験があります。
倍率1.0倍、つまり受験者全員一次に合格という年が過去に何度かあります。
しかも高難度で有名な国家公務員総合職試験に。
それは、国家総合職(院卒)の「法務」区分です。
法律区分ではありません。「法務」区分です。
「なにそれ?そんなの知らない」という方も多いでしょう。
それもそのはず、この試験、司法試験合格者しか受けられないのです。
司法試験に受かるのが大変だから参考にならないですね。
失礼いたしました。