本日はエイプリルフール
嘘をついてもいい日です
しかし世の中にはウソのようなホントの話というのもあります。
幼馴染とのほろ苦い思い出
時は、高度経済成長期真っ只中
ようやく日本の未来に薄日が差し始めた頃のお話です。
近所に、たっくんとかっちゃんという幼馴染が住んでました。
二人の家は隣同士、誕生日も1日違いで、まるで双子のように仲良しでした。
たっくんとかっちゃん、それに私で、よくアメリカザリガニやトノサマバッタを捕りに出掛けたのは良い思い出です。
悪いこともいっぱいしました。
- 防空壕の中に秘密基地を作ったり。
- 地下道の通風孔から石を投げたり。
- 立入禁止の操車場に入って遊んだり。
- 駄菓子屋のお菓子を勝手に食べたり。
怒られるときも、いつも3人一緒でした。
誕生日が1日違いで・・・
ところが、ある日突然、そうした日々にお別れを告げる時がやってきます。
たっくんだけ1人、小学校に上がってしまったのです。
そう。
たっくんは4月1日生まれ、かっちゃんは4月2日生まれだったのです。
入学式の日、かっちゃんのさびしそうな表情は今でも脳裏に焼きついています。
4月1日生まれは1~3月の早生まれと同じ学年、4月2日生まれからが次の学年ですが、どうしてこのようなことが起こってしまうのでしょうか?
キリのいいところで「3月と4月の間を境目にすればいいのに」と思う人も多いと思います。
そのカラクリはこうです。
4月1日生まれと4月2日生まれで学年が異なる理由を紐解く
学校教育法にこんな条文があります。
学校教育法第十七条
そして・・・
学校教育法施行規則第五十九条
つまり、3月31日までに6歳になっていれば、翌日すなわち4月1日から始まる学年で小学1年生になります。
あれ??
だったら4月1日生まれは次の学年じゃないの?
誕生日がきて6歳になるので、4月1日生まれは4月1日に6歳になる。
普通はそう考えます。
しかしそれは間違い。
やや回りくどいですが
順を追ってご説明いたします。
4月1日生まれと4月2日生まれで学年が異なる法的な根拠とは
民法140条は「期間」について、午前零時から始まるときを除いて、初日は参入しないで翌日から起算すると規定しています。
このことを「初日不算入の原則」といいます。
●次の問題でそれを確認しておきましょう。
先ほどの「初日不算入の原則」に従えば、午前零時丁度に借りない限り、「1週間」の起算日は、翌日の月曜日になります。
そして、一週間は
「期間の末日の終了(24時を経過)をもって満了(民法141条)」となります。
で、この末日というのは
「起算日に応当する日の前日(民法143条2項本文)」とされています。
応当する日というのは、月曜日が起算日だとすると翌週の月曜日のことです。
ということは
日曜日に1週間の約束で借りたレンタルDVDは、翌日の月曜日が起算日で、応当日が翌週の月曜日、応当日の前日が末日で、末日の終了をもって満了するので、翌週の日曜日の24時までに返せばよいことになります。
この理屈を適用すると
4月1日生まれは翌日の4月2日を起算日として、6年後の4月2日が応当日になる。応答日の前日(4月1日)の24時に6歳になる・・・はず。
しかしこれだと、4月1日生まれは次の学年になりますね。
だって、学校教育法によると「3月31日までに6歳になってなければ、その年小学校に入学できない」わけですから。
ところがどっこい。
世の中には民法より強い法律がいっぱいあるんですねえ。
民法より強い法律
その一つが『年齢計算ニ関スル法律』という明治時代に施行された全54文字の法律。
これには、年齢の計算には「初日不算入の原則」を採用しないことがはっきりと書かれてあります。
つまり、おぎゃあと生まれたその日が起算日。
また、この法律には民法143条(応答日の前日満了)の規定はそのまま使うとも書いてあります。
ということは
4月1日生まれが6歳になるのは、6年後の3月31日の24時ということになります。
よって、4月1日生まれは3月中に6歳になってるため、4月1日から始まる新年度にギリギリ間に合うんですねえ。
え?3月31日の24時って4月1日の午前0時と同じじゃないかって?
違うんです。
3月31日の24時はあくまで3月31日であって、4月1日ではないのです。
ここが法律の面白いところであり、訳わからんところでもあります。
皆様、これからは「誕生日おめでとう!」は誕生日の前日の24時に言うことにしましょう。
後日談
その後、引越などでたっくんとは離れ離れになるのですが、6年の時を経て、再び中学で一緒になります。
しかも、彼は部活の「先輩!」でした。