公務員試験の一般知識分野は1問しか出題されない科目がたくさんあります。
学習すべきか否か悩んでいる方、本当に多いです。今回は、一般知識を学習すべきか否か。学習するとしたら、何科目学習すべきかといった悩みにお答えします。
教養試験の知能分野と知識分野
公務員試験の教養試験(基礎能力試験)には、「一般知能」と呼ばれる分野と「一般知識」と呼ばれる分野で構成されます。
各分野に属する科目は以下の通りです。
一般知能 | 数的処理(判断推理、数的推理、資料解釈、空間把握) 文章理解(現代文、英文、古文) |
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一般知識 | 人文科学(日本史、世界史、地理、文芸・思想) 社会科学(政治、経済、法律、社会、国際) 自然科学(物理、化学、生物、地学、数学) |
*なお、全ての科目が均等に出題されるわけではありません。
上表のように公務員試験の一般知識は、「人文科学」「社会科学」「自然科学」と多数の分野から少しずつ出題されます。試験によって出たり出なかったりする科目もあります。
知識分野出題比率低下の現状
この一般知能と一般知識はかつて、ほぼ均等に出題されている時期もありました。
しかし、近年は一般知能偏重の傾向が著しく、一般知識の比重が年々低下しています。
たとえば、国家公務員試験では平成24年度から以下のような比率になっています。
国家総合職(院卒者試験)一般知能24題 一般知識6題
国家総合職(大卒程度試験)一般知能27題 一般知識13題
裁判所総合職(院卒者試験)一般知能27題 一般知識3題
裁判所総合職(大卒程度試験)一般知能27題 一般知識13題
国家一般職(大卒程度)一般知能27題 一般知識13題
国家専門職(大卒程度)一般知能27題 一般知識13題
院卒者試験はもとより、大卒程度試験でも教養試験全体の3分の1を下回る出題比率です。しかも時事問題が3問程度出題されるので、実質4分の1とお考えください。
地方公務員試験でも国家公務員試験の後を追うように、特別区Ⅰ類などで一般知識の比重が下げられました。
特別区Ⅰ類(大卒程度)一般知能28題 一般知識12題
平成25年度までは18題出題(30題中18題選択解答)されていた一般知識が、平成26年度試験から16題(40%)へと減少し、平成28年度からは12題(30%)になっています。
もっと凄い自治体があります。
川崎市は消防士を除く大卒程度全ての区分で、数年前から「人文科学」「自然科学」の出題を取りやめています。平成28年試験でも、教養試験は「一般知能」と「社会科学」のみの30問でした。
ところが遂に平成29年度試験から一般知識の出題を全て取りやめ、教養試験は一般知能分野の20問だけにしてしまいました。
(正確に言えば、教養試験と専門試験を全部で60題の「総合筆記試験」に再編し、そのうち教養科目からは知能分野の20題のみ出題)
もう、一般知識は不要ということですか?
そういうメッセージが実施側から発せられているように思えてきます。
一般知識も学習しなきゃいけないの?
このような実施状況に鑑み、一般知識の学習に関する受験生のモチベーションは年々下がっています。
しかし、大抵の公務員試験で3割程度は一般知識が占めるので、全て切ってしまうだけの勇気が沸かないのが実情です。
では、どの程度学習すべきなのか?
結論から言えば、半分程度の科目を準備しておけば十分です。
その半分の科目をどうやって選ぶかというと、大学入試で使用した科目や苦手意識のない科目を選んでください。
文系の方で「物理」や「化学」を苦手としているにも関わらず、わざわざそれらの科目から学習する必要はありません。
世界史(特に西洋史)も、大学入試で世界史を選択していなければ切ったほうが賢明です。西洋史は分野を絞ったとしても覚えることが膨大にあります。
経済も、行政系受験生で専門試験対策として学習しているのでなければ、少なくとも理論はやらなくていいでしょう。事情分野だけ軽くやっておきましょう。
では、残った科目はどのようなスケジュールで学習すべきでしょうか?
大卒程度(新卒者含む)の公務員試験は、4月の終わりから本格的にスタートします。
目標としては、2月3月4月の3ヶ月間で月に2科目ずつ学習する方法をお勧めします。
たとえば、2月は「日本史」と「生物」を学習し、3月は「地理」と「政治」といった感じで。
それよりもっと早い時期から一般知識を学習しても本番までに忘れてしまいます。
公務員試験の教養試験対策は前半で「一般知能」、後半で「一般知識」に徐々にシフトしていくのがセオリーです。
慌てる○○は貰いが少ない。
3ヶ月ぐらいで一気に詰め込んでしまいましょう。
また、一般知識分野は時事とも関連性が強いので、時事対策=一般知識対策になる場合もあります。
時事対策の学習法はまた気が向いたら触れますが、時事対策が一般知識分野での得点に寄与することが多いというのも覚えておくといいでしょう。