地方公務員の昇任制度は自治体によってこんなにも異なる

昇任試験

今回は、地方公務員の昇任制度についてのお話です。就職や転職とは直接関係ありません。公務員として就職や転職をした後の話になります。



地方公務員の昇任制度

今日は関東の某県に勤務する公務員のA君から、いろいろと内情についての話が聞けました。ここには書けない話も多いのですが、昇任制度について興味深い話が聞けたので、今回は公務員の昇任制度についてお話したいと思います。

まずは「公務員の昇任制度が誕生した経緯」についてご説明します。

公務員に昇任制度が誕生したきっかけ

第二次世界大戦後、連合国軍最高司令官総司令部(いわゆるGHQ)によって日本の公務員制度に職階制が持ち込まれ、「国家公務員の職階制に関する法律」なるものが出来ました。しかし、あくまで暫定的な利用に留まり、制度として一度も実施されることなく2009年にこの法律は廃止されました

職階制から給料法へ

年功序列の根強いわが国に「職階制」は馴染まなかったとされていますが、職階制の考え方が全く導入されなかったかというとそうではなく、「給料法」の制定によって職階制の潜在的機能は実現され、現在に至っています。

地方公務員の場合

これは地方公務員でも同様です。地方公務員法において「人事委員会を置く地方公共団体において職階制を採用するもの」とされながらも、職階制は導入されず給料表がその機能を果たしているのは国家公務員と類似しています。

給料の「等級」が階級を意味する

すなわち、給料の「等級」がいわば官職の「階級」を意味します。1級が「主事」で2級が「主査」で3級が「主任」で4級が「係長」で5級が「課長補佐」といった具合です(全て自治体で同じとは限りません)。

そしてメジャーアップグレードの際には昇任試験があります。しかし、そのタイミングやランクの付け方は自治体ごとに異なります。

自治体ごとの昇任制度の違い

A君の所属する自治体では当初「主事」からスタートし、昇任試験は「主任」になる際に受験します。しかし、主任への昇任試験を受けられるのは入職後9年目だそうです。

たとえば東京都では、2級の「主任」昇任試験を受験できるのは入職後5年目です。A君の自治体では、主任になれるのは4年も後です。

昇任試験にも飛び級制度がある!?

ところが、某巨大政令指定都市ではまた事情が異なり、そもそも主任試験というものが存在せず、昇任試験は、いきなり「係長」からスタートします。しかも、在職2年で満28歳に達していれば誰でも受験できます。

若くして係長になれるということで、かつては倍率数十倍に達するほどの人気でした。しかし、その職責の重さと給与水準が釣り合わないため、今では受験者が激減しています。

実際、残業手当を考慮すると、管理職にならないほうが給料が高かったりします。

昇任試験の内容

気になる昇任試験の内容ですが、一般的には「筆記試験」と「論文試験」と「面接試験」で構成されます。つまり、公務員(になるための)試験とほぼ同じです。科目も「憲法」や「行政法」が出題されます。

いま苦しい思いをして専門科目を学んでいる人にとって、その努力は受かった後も決して無駄ではないということです。

今回は「昇任試験合格のためのヒント」でした。